このページの前半では、マットレスのローテーションの必要性やローテーションの期間・方法などについて解説していきます。
後半では、マットレスが重くてローテーションをできない場合や、ローテーションが面倒くさくてしたくない場合はどういった対策をしたら良いかということについて解説していこうと思います。
マットレスのローテーションはなぜ必要?メリット・デメリットは?
マットレスのローテーションが必要な理由としてあなたがパッと思いつくのは、ローテーションをしない場合と比べてマットレスの寿命が長くなるということではないでしょうか?
しかし、ただマットレスの寿命が長くなるからという理由だけではありません。
マットレスのローテーションは、あなたの健康面に対して大きく影響を与えるのです。
健康面に与える影響
購入したばかりの頃は快適な寝心地のマットレスでも、長く使用していると負荷が多くかかる腰部分などを中心にへたりが生じてきます。
マットレスがへたってくると理想的な寝姿勢をとることができなくなってしまう(不自然な寝姿勢になる)ため、腰痛や骨盤の歪み、血行不良などの原因となってしまう可能性もあります。
どのようにへたっているかにもよりますが、寝返りをしにくくなる・体圧分散性の低下などにもつながり、これは睡眠の質が低下する要因となってしまいます。
そして、腰痛などの体調不良や睡眠の質の低下による寝不足はストレスなどにつながります。
人間は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくというのは広く知られている話です。
この寝ている間にかいた汗が湿気の要因となるのですが、寝ている状態ではマットレスとの接地面積の高い、背中からお尻にかけての特定の部分に最も湿気がたまりやすくなります。
マットレスのローテーションをすることで、特定の部分に湿気がたまるのを防ぐことができるため、湿気が原因で発生するカビ・ダニ・雑菌などの増殖を減少させることにつながります。
湿気がマットレスの劣化に関係する
仰向けで寝ている場合、頭部8%・脚部15%・背面部33%・腰部44%の加重がマットレスにかかってきます。
マットレスの中心部(背面部・腰部)にかけて体重の77%の負荷がかかっているということです。
ローテーションをした場合、1番凹みやすいお尻部分のへたりは軽減できますが、実はマットレスの中心部全体のへたりは防ぐことができません。
ローテーションをして上下が反対になったとしても、中心部全体にかかってくる77%の加重はほとんど変わらないためです。
実はローテーションをする1番の目的は、体の向きを変えることで接地面積の高い特定の部分に湿気がたまるのを防ぐことなのです。
湿気はカビ・ダニ・雑菌などの衛生面にも関係しますが、マットレスの劣化にも大きく関係します。
住宅などで考えてもらえば分かりやすいと思いますが、湿気は色々な箇所にダメージを与えて住宅の内部を劣化させますよね?
マットレスもそれと同じで、ウレタンや中綿などのマットレス内部の詰め物に湿気が多くたまることで、内部の詰め物の劣化が早くなるのです。
そのため、負荷がかかる場所を変えることよりも湿気がたまるのを防ぐことの方が大事というわけです。
メリット・デメリット
【ローテーションをする場合】
- マットレスの寿命が長くなるため経済的。
- マットレスにカビが生えていないかなどの確認ができる。
- ローテーションをする途中で壁に立て掛けたり陰干しすることで、湿気を飛ばすことができる。
- 手間がかかって面倒くさい。
【ローテーションをしない場合】
- 手間がかからなくて楽。
- マットレスの寿命が短くなるため、買い替えのスパンが短くなる。
- マットレスに湿気がたまりやすくなる。
- 気づかない間にマットレスの裏面にカビが生えていることが…。
金銭的に余裕がある方はへたったら買い替えれば良いだけと思うかもしれませんが、目に見えないカビ・ダニ・雑菌などのことを考えると、可能な限り定期的にローテーションをすることをおすすめします。
マットレスのローテーションの方法と期間
ネットでマットレスを購入する場合は、製品ページなどにローテーションの方法が記載されてある場合が多いのでご存じの方もいると思います。
ちなみに上記画像は、2万円以下の価格帯でオススメしている【Bed&Mattress Hゾーンポケットコイルマットレス EN234PN】の販売ページの画像です。(画像をクリックすると製品ページへ)
当サイトでは、厳選した約200台のポケットコイルマットレスを様々な角度から徹底比較していますので、時間があれば比較ページの方もご活用ください。
順番と補足事項
上記画像は両面タイプの場合です。
両面タイプの場合は、①~④までを完了するとローテーションが1周して最初の状態に戻ります。
片面タイプの場合は、①~②までを完了するとローテーションが1周して最初の状態に戻ります。
- マットレスを180度回転させて上下(頭側と脚側)を入れ替える。
- マットレスをひっくり返して裏表を逆にする。
- ②の状態でマットレスを180度回転させて上下(頭側と脚側)を入れ替える。
- マットレスをひっくり返して裏表を逆にする。
- マットレスを180度回転させて上下(頭側と脚側)を入れ替える。
- 再度マットレスを180度回転させて上下(頭側と脚側)を入れ替える。
- 片面タイプは裏表を逆にすることを想定して作られていないので、裏表のローテーションはしないようにしてください。
- 両面タイプでも裏表で寝心地が変わるタイプの製品もあるため、製品情報はしっかりと確認しましょう。
- マットレスには基本的にブランドラベルや商品ラベルがついています。だいたい表面の脚側についていますので、ローテーションをする際の目印にしてください。
種類別ローテーション推奨期間
種類 | 推奨期間 |
---|---|
低反発マットレス | 1週間に1度 |
高反発マットレス | 2週間に1度 |
薄型コイルマットレス | 1ヶ月に1度 |
コイルマットレス | 3ヶ月に1度 |
上記表の期間はあくまでも通常使用する場合の目安ですので、マットレスの使用頻度や体重などによっては、ローテーションの期間を早くしたり遅くしたりしても良いでしょう。
ローテーションは決められた日にしなくてはならないわけではないので、いつしたか分からなくなった場合はすぐにローテーションをしても大丈夫です。
《低反発マットレス》
低反発マットレスは体が沈み込むような寝心地が気持ち良く、フィット感が高いマットレスです。
しかし、反発力と通気性が低いため、高反発マットレスやコイルマットレスに比べると耐久性・衛生面が低くなります。
そのため、長く使用するためには短いスパンでのローテーションが必要になってきます。
《高反発マットレス》
高反発マットレスは反発力が強く体が沈み込みすぎないため、寝返りがしやすいマットレスです。
耐久性・通気性は低反発より高いですが、コイルマットレスに比べると低くなります。
そのため、長く使用するためには短いスパンでのローテーションが必要になってきます。
《コイルマットレス》
ポケットコイルマットレスやボンネルコイルマットレスなどのコイルマットレスは、低反発・高反発マットレスと比べて耐久性が高いマットレスです。
通気性に関しても、中のコイルとコイルの間に隙間があるため、低反発マットレスや高反発マットレスよりも高くなっています。
そのため、3ヶ月に1度のスパンでローテーションすれば大丈夫というわけです。
ただ、薄型コイルマットレスに関しては、通常サイズのコイルマットレスと比べて耐久性と通気性が劣るため、通常サイズのコイルマットレスよりも短いスパンでローテーションを行う必要があります。
マットレスのローテーションと一緒にしておきたいこと!
せっかくローテーションするのですから、快適な睡眠生活をおくるために次の3つのことは是非とも一緒にやっておきたいところです。
干して湿気を除去する
マットレスを少しでも長く快適に使用するためにこれは1番大事なことなので可能な限り行うようにしてください。
注意点として、早朝や夕方、天気の悪い日(湿度が高い日)に干すことと、天日干し(直射日光に当てて干す)はNGです。
マットレスは基本的には日の光や熱に強くできていないため、陰干し(直射日光を避けて干す)をするようにしましょう。
湿度の高い時間にマットレスを干すと逆効果になってしまう可能性もあるため、天気の良い日の昼間に干すのがおすすめです。
シーツ・カバーなどの洗濯・交換
普段からシーツ・カバー・ベッドパッドなどの掃除や洗濯をこまめにしている方はともかく、普段全くお手入れをしていない場合はこの機会に一緒にやってしまいましょう。
シーツ・カバー・布団などのコインランドリーの乾燥機で使用できるものは、ダニの除去率が高いため、コインランドリーの乾燥機がおすすめです。
掃除
マットレスをどけてみると、マットレスを置いていた周辺は割と汚れているものです。
周辺に落ちた髪の毛やフケはダニの餌になってしまいますので、普段から掃除をこまめにしない方はこの機会に必ずやっておくことをおすすめします。
- シーツやカバーなどの付属品を外して洗濯機を回す。
- マットレスを立てかけて陰干しする。
- マットレスをコロコロや布団クリーナーで掃除する。
- マットレス周辺の掃除をする。
- 洗濯したシーツやカバーをコインランドリーに乾燥させにいく。
- マットレス・シーツやカバーなどを設置する。
マットレスのローテーションをしたのに寝心地が悪い!こんなときは?
マットレスのローテーションしているのにも関わらず、寝心地が悪くなることに対して考えられる原因は大きく分けて2つあります。
マットレスの構造が原因
マットレスには片面タイプ、両面タイプがあり、基本的には両面タイプの場合は表面と裏面が同じ構造で作られています。
しかし、両面タイプの中には表面と裏面で内部に使用されているウレタン素材などが違うもの、表面と裏面で生地素材が違うものなどがあります。
上記のことから、マットレスの構造が原因で寝心地が悪くなってしまったときに考えられる原因と解決策は以下の通りです。
- 片面タイプのマットレスなのに裏表を逆にしてしまった。
この場合は、上下180度のローテーションのみをするようにしましょう。 - 表面と裏面で寝心地が違うタイプの両面マットレスだった。
解決策① 片面のみを上下180度ローテーションして使用する。
解決策② タオルケット・ベッドパッド・トッパーなどを使って寝心地を改善する。
寝心地が違う両面タイプの場合、裏返すことで硬すぎる寝心地になってしまった場合は解決策②の方法が使用できます。
しかし、逆に柔らかすぎる寝心地になってしまった場合は、柔らかいマットレスを硬くすることは難しいため、解決策①の方法にするか買い替えるしかありません。
マットレスの寿命が近い
マットレスの一般的な寿命の目安は下記表の通りとなります。
種類 | 寿命 |
---|---|
低反発マットレス | ~5年 |
高反発マットレス | ~8年 |
コイルマットレス | ~10年 |
上記表の期間よりも長く使用している場合は、マットレスのへたりが原因と考えられますのでマットレスの買い替えを検討しましょう。
また、マットレスの寿命は価格(内部に使用されている素材の品質)やマットレスの厚さ、メンテナンス(ローテーションなど)の回数も関係があります。
薄型のものや安価なマットレスの場合、メンテナンスを全く行っていない場合などは、上記の期間よりも短い期間の使用だとしてもマットレスがへたっている可能性があるため、買い替えを検討する必要があります。
当サイトでは、厳選した約200台のポケットコイルマットレスを様々な角度から徹底比較していますので、買い替えを検討している場合は比較ページの方もご活用ください。
マットレスが重いからローテーションできない場合はどうする?
ローテーションはしたいけど、マットレスが重くてなかなかできないという方もいると思います。
1番の方法は家族や友人などにローテーションを手伝ってもらうことですが、それは難しいという方のために、1人でローテーションをするための方法を簡単な順に紹介していきます。
シングルサイズの場合
《寝る向きを変える》
1番簡単なのは、あなた自身が寝る向きを変えるという方法です。
いつも寝ている方向の頭側と脚側の方向を180度入れ替えて寝ることで、マットレスを180度ローテーションさせたのと同じ効果になります。
しかし、ヘッドボードがついているベッドにマットレスを設置している場合や、マットレスの設置場所によっては違和感があるかもしれません。
《薄型や三つ折りマットレスを選ぶ》
薄型マットレスはマットレスの厚みが薄くなる分、重量が軽くなるため女性などでも1人でローテーションしやすいです。
ファスナーなどで分割できるタイプの三つ折りマットレスは、マットレスを3分割できるため重量が3分の1になり、ローテーションだけでなく干すのも簡単になります。
《片面タイプのマットレスを選ぶ》
片面タイプの場合は、裏表のローテーションはしないため180度回転させるだけのローテーションで済みます。
片面タイプのメリットとしては、片側にウレタンなどの素材が厚く使用されているため、片側の寝心地は同じ価格の両面タイプよりも良いということです。
ただ、マットレスの寿命で考えると裏表のローテーションができる両面タイプの方が長くなります。
また、設置場所が狭い場合はマットレスを起こしてローテーションする必要がでてくるため、裏表のローテーションをするのと同じだけの労力がかかってくる可能性もあります。
《セパレートタイプのマットレスを選ぶ》
セパレートタイプはマットレスが上層と下層の2層に分かれているため、ローテーションをするときにかかる重さが約半分になります。
マットレスの種類によっては上層のみのローテーションで済む場合もありますので、薄型マットレスを裏返すくらいの労力でローテーションを行うことができます。
クイーン・キングサイズの場合
クイーンサイズやキングサイズの場合、1枚タイプの製品もありますが、セミシングルサイズやシングルサイズを連結して大きいサイズとして使用するような製品もあります。
1枚タイプのビックサイズの場合、重量的に考えるとローテーションをするのはとても大変です。
連結式のクイーンサイズやキングサイズの場合、セミシングルサイズやシングルサイズを2枚つなげているためローテーションにかかる労力はマットレス2台分になりますが、重量的に考えるとシングルサイズの労力で済みます。
また、連結式の場合は搬入搬出が1枚タイプと比べて楽になるため、大きいサイズのマットレスが欲しいけど搬入経路がないという方にはおすすめです。
それでもローテーションが難しいという場合は、これからマットレスのローテーションをしたくない人のための方法を紹介していきますので、こちらを参考にしてください。
マットレスローテーション面倒くさくてしたくない場合はどうする?
マットレスのローテーションはできれば行ったほうが良いですが、ローテーションをしなくてもマットレスの寿命を延ばす方法はいくつかあります。
ページ前半の「湿気は衛生面だけでなくマットレスの劣化にも関係する」のところで、湿気がマットレスの劣化に大きく関係しているということを説明したのを覚えているでしょうか?
勘の良い方はもうお気づきかもしれませんが、湿気がマットレスの劣化に大きく関係しているのならば、ローテーションができない・ローテーションをしたくないという場合は、湿気をためないようにする工夫をすれば良いのです。
《敷きパッド・ベッドパッドなどを使用する》
敷きパッドやベッドパッドをマットレスの上に敷いて寝ることで、マットレス本体に寝汗が吸収されることを防ぐことができます。
マットレスの劣化の1番の要因は寝汗が原因で湿気がたまることなので、ローテーションよりも敷きパッドやベッドパッドをマットレスの上に敷くことの方が重要です。
ローテーションをきちんと行う場合でも敷きパッドやベッドパッドは必ず敷くことをおすすめします。
《掛け布団は折りたたむ》
マットレスを使用していないときに掛け布団を掛けたままにしていると、マットレスに吸収された湿気が放出されにくくなります。
ベッドパッドなどを使用している場合でも、ベッドパッドに吸収された湿気が放出されず、ベッドパッドに湿気がたまりすぎると下のマットレスにまで湿気が吸収されてしまいやすくなります。
掛け布団をマットレスの上からどけろとまでは言いませんが、マットレス全体に掛け布団を掛けたままにするのはやめましょう。
《壁にマットレスをくっつけない》
設置スペースが限られている場合、大多数の方がベッドやマットレスを壁にくっつけて設置しています。
壁にマットレスをくっつけて設置してしまうと、壁にくっついている面からはマットレス内部の湿気を放出しにくくなります。
できれば壁から広く離した方がいいですが、5cmでも10cmでも構わないので、壁とマットレスの間に隙間を空けて空気の通り道を作るようにしましょう。
《すのこを使用する》
湿気は水分を多く含んでいる状態では上方に上がっていきますが、結露すると水になってしまうので下にたまります。
そのため、ベッドフレームを使用せずにマットレスを床に直置きしている場合は、湿気を下から放出することができないためマットレスの下側にたまりやすくなってしまうのです。
マットレスの下にすのこを使用するとマットレスの下に空間ができ、下側から湿気を逃がすことができるようになります。
100円SHOPなどにもすのこは売っていますが、床に直置きしている場合はマットレス専用のすのこを使用するのがおすすめです。
ベッドフレームの場合はすのこベッドもおすすめです。
《除湿シートを使用する》
除湿シートをマットレスの下に敷くことで、マットレスの下にたまった湿気を吸い取ってくれます。
除湿シートは干すことで繰り返し使用できるものや、吸い取った湿気の量が増えてきたらセンサーで知らせてくれるものなどがあります。
マットレスのローテーションをしたくない場合には、吸湿量の多いものであればメンテナンスをする回数も減るため、吸湿量の多いものを選ぶのがおすすめです。
しかし、基本的には湿気がたまったら干して使用するものなので、除湿シートに湿気がたまった場合はマットレスと除湿シートの間にに物を挟み、扇風機などで風を当てて乾燥させてあげる必要があります。
まとめ
マットレスのローテーションは、マットレスの寿命を延ばすためには必要なメンテナンスです。
しかし、ローテーションができない場合でも、少しでもマットレスを長く使うために湿気対策だけは必ず行うようにしましょう。
また、へたってしまったマットレスを使用し続けることは健康面に対して影響を与えますので、なるべく早く新しいマットレスに買い替えるようにしてください。
ポケットコイルマットレスに関しては、当サイトよりも徹底的に比較しているサイトはありませんので比較ページの方も是非ご活用ください。