このページの前半ではそもそもウレタンとはどんな素材なのかということについて詳しく解説していきます。
後半では、ウレタンマットレスの選び方について詳しく解説していきます。
ウレタンとは?どんな素材?
ウレタンとは、正式には「ポリウレタン」と呼ばれるプラスチック素材の1つのことです。
「ポリウレタン」は2種類の原料(ポリオール 、ポリイソシアネート)の配合方法や製造工程を変えることで、密度や硬さの違う様々な種類のウレタン素材になります。
そして、「ポリウレタン」は
- 発泡させたもの=「フォーム品」
- 発泡させていないもの=「非フォーム品」
に大きく分類され、マットレスには「フォーム品」が使用されます。
「非フォーム品」は接着剤や塗料にも使用され、ゴム素材として一部のバイクや車のタイヤなど、これもウレタンなの?と思うような製品にも使用されています。
同じポリウレタンという名称でも多種多様な使い方があるので、触り心地も弾力も硬さも全く違います。
上記で「フォーム品」と「非フォーム品」の違いを説明したので、ウレタンとしか記載されていなかったらウレタンフォームではないと思う人もいるかもしれません。
しかし、マットレスに関しては販売元によって表記が統一されていないため、
- ウレタン
- ポリウレタン
- ウレタンフォーム
の、どの表記で記載されていてもウレタンフォームだと考えてください。
マットレスに使われるウレタンフォームの種類
ウレタンフォームには多種多様な硬さや耐久性などのものがあり、実に多くの用途で使用されています。
まずはウレタンフォームの種類と特徴から簡単に説明していきましょう。
ウレタンフォームの種類
ウレタンフォームは大きく分けると、
- 「軟質ウレタンフォーム」
- 「半硬質ウレタンフォーム」
- 「硬質ウレタンフォーム」
の3種類に分類することができます。
軟質ウレタンフォームの特徴
軟質ウレタンフォームは気泡が多く連続して繋がっているため、軽量で柔らかく、弾力性・復元性・耐久性が高くなっているのが特徴です。
硬さのバリエーションも広いため、台所用スポンジのような柔らかいものから、クッション材として車のシートやソファ、マットレスなどにも使用されることが多い素材です。
半硬質ウレタンフォームの特徴
軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームの中間的な位置に存在するのが半硬質ウレタンフォームです。
弾力性と反発性が高いため、衝撃吸収材として様々な用途に使用され、マットレスの芯材としても使われます。
硬質ウレタンフォームの特徴
硬質ウレタンフォームは、独立した小さな硬い気泡の中に熱伝導率の低いガスが閉じ込められているため、建築用の断熱材として用いられることが多い素材です。
弾力はありますが復元性が低く、水分を通しにくい素材でもあるため、防水パッキンなどにも使われたりしています。
ウレタンマットレスによく使われるのは?
ウレタンマットレスというと、低反発ウレタンや高反発ウレタンという名前をよく聞くと思いますが、どちらもクッション性の高い軟質ウレタンフォームがよく使用されています。
同じ軟質ウレタンフォームでも製造工程の違いで反発力の強さなどをを変えることができるため、異なる寝心地のマットレスを作ることが可能なのです。
半硬質ウレタンフォームや硬質ウレタンフォームを使用している製品もあるようですが、正直どの「フォーム品」が使用されているかというのは重要ではありません。
重要なのは異なる製造工程で加工された結果、密度・硬さ・通気性などはどうなっているのかということです。
ウレタンマットレスの選び方
ウレタンマットレスは大きく分けると、低反発ウレタンフォームと高反発ウレタンフォームの2種類に分類することができます。
細かく分類すると他にもいくつか種類があるのですが、それらについては下記記事を参考にしてください。
厚さの選び方
ウレタンマットレスを単体で使用する場合、体重や体格によって最低限下記の厚さがないと、横になったときに体が床の感覚を感じてしまう”底付き感”を感じてしまう可能性があります。
厚さ | 体格の目安 |
---|---|
5cm | 平均的な小学生位 |
7~10cm | 平均的な成人女性位 |
10cm以上 | 平均的な成人男性位 |
上記はあくまでも目安ですのでマットレスの種類や硬さ、ウレタンの種類や密度などによっても変わってきます。
ウレタンマットレスの場合、あまりに分厚すぎるとマットレスのローテーションを行うのも大変ですし、生産コストが高くなるため当然お値段も高くなってしまいます。
床に直置きして使用する場合や普通のベッドの上で使用する場合は、15cm~20cmくらいのものを選んでおけば、寝心地的にも見た目的にも問題はないでしょう。
二段ベッドの上段に使用したい場合や、部屋の広さの関係上などで毎日片づけたいという場合は、上記の厚さを目安にして三つ折りタイプのものを選ぶのがおすすめです。
硬さ(=寝心地)の選び方
ウレタンマットレスの寝心地を考える上で最も重要なのはマットレスの硬さです。
ニュートン値とは
この硬さは、”ニュートン値(N)”という単位で表記されるのですが、基本的にはニュートン値の数値が大きいほど寝心地の硬いマットレスということになります。
硬さの区分については消費者庁では下記のように定められています。
硬さ(区分・用語)
区分 用語(表示名) 110ニュートン(11重量kg)以上 かため 75ニュートン(7.5重量kg)以上110ニュートン(11重量kg)未満 ふつう 75ニュートン(7.5重量kg)未満 やわらかめ
用語の部分をウレタンマットレスの種類に当てはめると、
- かため=高反発ウレタンマットレス
- ふつう=中反発ウレタンマットレス
- やわらかめ=低反発ウレタンマットレス
ということになりますが、製造メーカーや測定方法によって110N以下でも高反発マットレスとしていたり、110N以上でも低反発マットレスとしていたりする製品もあるため、あくまでも目安と考えてください。
硬さの選び方
高反発マットレスを選ぶ場合、ニュートン値が高ければ高いほど良い製品というわけではありません。
体重に対してあまりに硬すぎるマットレスを選んでしまった場合、腰部などの出っ張っている部分があまり沈み込まずに寝姿勢が悪くなってしまいます。
メーカーや測定方法によっては同じ硬さでもニュートン値が違う場合がありますが、下記の表が高反発マットレスの硬さを選ぶ大体の目安になります。
体重 | ニュートン値(N) |
---|---|
50kg以下 | 100N以下 |
50~80kg | 100~150N |
80~100kg | 160~190N |
100kg以上 | 200N以上 |
種類の選び方
ウレタンマットレスの硬さを選ぶ際にはあなたの体重や体格が基準となりますが、他にも寝返りの回数や睡眠姿勢も考慮して選ばなければなりません。
単純に体重が重いから低反発マットレスは向いていない、体重が軽いから低反発マットレスの方が良いというわけではありません。
寝返りの回数
低反発マットレスは寝返りが打ちにくく、寝返りをするために余計な力を使うので疲労が取れにくいと言われていたりしますが、これは的確ではありません。
寝返りの回数が少ない人にとっては確かにその通りといえるかもしれませんが、低反発マットレスには”寝返りの回数を減らすことで睡眠中に体にかかる負担を減らす”という狙いがあるからです。
寝返りの回数が多い人は、低反発マットレスにすることで寝返りの回数を減らすことができ、睡眠の質が向上する可能性があるでしょう。
睡眠姿勢
横向きで寝ていることが多い場合は、高反発マットレスよりも低反発マットレスの方がおすすめです。
横向きで寝る場合、肩や腰などの出っ張りが部分が仰向けで寝る場合と比べて広くなるため、出っ張っている部分のみが深く沈み込みやすくなるからです。
体の出っ張り部分が適度に沈み込んでくれることで理想的な睡眠姿勢に近くなり、睡眠の質を向上させることができます。
耐久性=寿命の見極め方
低反発マットレスよりも高反発マットレスの方が寿命が長いといわれていますが、必ずしもそうというわけではありません。
マットレスの耐久性には硬さも関係があるため、高反発マットレスの方が基本的には耐久性が高いといえますが、ウレタンの密度や復元率も重要だからです。
そのため、ウレタンの質の高い低反発マットレスの方が、ウレタンの質の低い高反発マットレスよりも寿命が長くなるような場合もあります。
密度の見方
Dは英語で密度という意味のdensityの頭文字、kg/m3は密度の単位でどちらの表記でも密度に違いはありません。
コイルマットレスの場合は他にも重要な部分があるため密度が表記されていないことが多いですが、ウレタンマットレスの場合は密度がとても重要なので表記されていることが多いです。
ウレタンマットレスを選ぶときには、同じ予算内でも可能な限り密度の高いものを選ぶようにしましょう。
3年以上使用したいなら最低でも、高反発マットレスなら25D(kg/m3)以上、低反発マットレスなら35D(kg/m3)以上のものを選ぶのがおすすめです。
復元率の見方
復元率を簡単に説明すると、8万回圧縮を繰り返し使用したウレタンマットレスが、どれくらい元の形に復元するかという数値です。
復元率の数値が高ければ高いほど耐久性の高いマットレスということになります。
復元率が表記されていないウレタンマットレスも多いので、表記されている場合は耐久性に自信があるという見方もできますね。
3年以上使用したいなら、最低でも復元率95%以上のものを選ぶのがおすすめです。
通気性は考えられているか
ウレタンマットレスはコイルマットレスと比べて内部の隙間が少ないため、通気性が悪いのがデメリットです。
通気性が悪いと湿気がたまりやすくなり、ダニ・カビ・雑菌などが繁殖しやすくなるため衛生的にも良くありません。
さらに湿気はマットレスの劣化にも関係するため、放置していると寿命も短くなります。
通気性・衛生面に関しては、カバーが取外し洗濯可能だったり、特殊素材を使用したりなど製品によって様々です。
また、湿気対策や衛生面に関しては自分でも対策はできますので、詳しくは下記記事を参考にしてください。
ウレタンマットレスとコイルマットレスどっちがおすすめ?
どちらが優れているかといえば、ホテルなどのベッドがある宿泊施設の大半でコイルマットレスを採用していることからも、コイルマットレスの方が優れているというのは明白です。
しかし、人によってはウレタンマットレスの方がおすすめな場合もあるため、選ぶための基準を比較していきましょう。
コイルマットレスの中でも私はポケットコイルマットレスをおすすめしていますので、ウレタンマットレスとポケットコイルマットレスについて比較していこうと思います。
- 頻繁にマットレスを移動させる人
- 同じマットレスを何年も使いたくない人
- とにかく安ければ良いという人
- 処分にお金をかけたくない人
- 寝心地を重視する人
- 横向きで寝ることが多い人
- 2人で寝ることが多い人
寝心地から考える
寝心地という視点で考えるなら圧倒的にポケットコイルマットレスがおすすめです。
コイルマットレスの内部にはウレタンフォームが使用されているので当然といえば当然ですね。
そのため、仰向けで寝る場合でも横向きで寝る場合でも、ウレタンマットレスよりも理想的な寝姿勢になりやすいというメリットがあります。
2人で寝る場合でもコイルが独立しているため、マットレスの振動で一緒に寝ている人を起こしてしまうという可能性も低くなります。
利便性で考える
人によって理由は様々ですが、マットレスを頻繁に移動させたり収納する必要がある場合には、ウレタンマットレスの方が軽いのでおすすめです。
しかし、ポケットコイルマットレスの場合でも薄型タイプや三つ折りタイプのものを選べば移動も楽になるため、ケースバイケースといえます。
費用で考える
費用面で考えるのはマットレス自体の価格と処分する場合の価格です。
処分費用に関しては、ノンコイルマットレスの方が安くなりますが大きな差ではありません。
ただ、ノンコイルマットレスは細かく分解して家庭ごみで出すという点においてはコイルマットレスよりも圧倒的に楽です。
マットレス自体の価格で考えるならコイルが入っていないウレタンマットレスの方が安いです。
しかし、ポケットコイルマットレスにも1万円以下の安い製品もありますので、迷っている場合は当サイトの価格別徹底比較記事に1度目を通してみてください。
まとめ
人間は人生の1/3を寝て過ごすため、睡眠の質は物凄く重要なことです。
人生の1/3を過ごすからこそ、予算と相談しながら後悔しないマットレス選びをしましょう。
当サイトでは他にも役立つ記事を公開していますので、お役に立てていただければ幸いです。